参照6:パニック発作と薬物療法

パニック発作は、最初は何の誘引もなく突然起こる事が多い。発作は通常20~30分で終わるが、当初は月に数回起こる場合が多い。症状は心悸亢進、呼吸困難、過換気症候群、めまい感、死の恐怖などを伴う強い不快感情で、激烈な場合は救急搬送される場合もある。初発時には精神症状と認識されず循環器内科などの身体科を受診する場合も多い。症状も、著者の体験した「酸欠感と高速運転が不能となる」(⇒外来症例6末尾)や、外来症例6の様に「吐き気」など軽症で非定型な症状から重度のパニック発作まで多様である。

睡眠パニックは予期しないパニック発作に分類され、1次性のパニック障害と考えられている。

発作を繰り返すと、発作間欠期にも発作が起きる事を恐れる予期不安が生じ、2次的に広場恐怖や外出恐怖に発展する場合も多い。発症機序に関する定説はないが、体調不良時に何らかの負の連想が働き(著者の場合は運転を誤ると、友人の子供まで父無し子にしてしまうという連想)、恐怖の情動回路が賦活されるのではないかと考えている。

 

パニック障害の治療薬としては抗うつ薬で選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるパキシルとジェイゾロフトのみが保険適用されている(H24年5月現在)。しかし、ルボックスなど他のSSRIもパニック障害の治療薬として有用と考えられる。著者はこれらの薬物が保険適用される以前はスルピリドを50mg~200mg程度単剤又は抗不安薬と併用して使用し、パニック障害の治療を行っていた。外来症例6ではルボックス100 mgとリボトリールが頓服として0.5 mg 1T処方されある程度の治療効果が得られていた。リボトリールは抗てんかん薬として保険適用されている薬物であるが、精神科領域では最も強力な抗不安薬として広く使用されている。

外来症例6の場合、薬物療法の観点からするとパキシルとスルピリドの併用だけでは無効で、リボトリールを加えた3剤の併用がパニック発作抑制には最も有効だったと考えられる。尚パニック発作に抗不安薬を発作時の頓服で処方するのはむしろ予期不安を増強すると思えるので著者は推奨しない。

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