入院症例5 激しい口舌ジスキネジアによる嚥下・服薬不能例

 

Key word   口舌ジスキネジア 嚥下不能 カタプレス リボトリール 注腸投与

70歳代女性

若い頃から過量飲酒があり、入退院を繰り返していた。次第に認知症状が進行し、現在は福祉施設に入所している。幻覚妄想状態を呈する為、クリニックより抗精神病薬が投与されるようになったが、2ヶ月前から小刻み歩行になり、再三転倒する為、抗精神病薬が中止された。一時的には歩行は改善したが、1ヶ月前より激しい口舌ジスキネジアで嚥下不能の状態が次第に増悪、当院紹介入院に至る。

 

経過・治療

入院後、口舌ジスキネジアの治療薬(⇒参照2)としてリボトリール2mg、カタプレス150μgが処方されたが、舌の突出運動の為、ほとんど服薬出来ず、口舌ジスキネジアは全く改善されなかった。入院10日後にカンファランスが持たれ、注腸で同薬を投与する提案を行った。注腸の翌朝は劇的にジスキネジアは軽快し、経口で内服が可能となった。その後ジスキネジアは再燃したが、以前ほどの激しいものではなかった。

 

診療のポイント

ジスキネジアの治療については参照2に述べたが、内服不可能な重度ジスキネジアの場合薬物投与ルートとして、薬剤を微温湯で溶解または懸濁し注腸する事は有用である。

また、てんかんの重積発作の場合、当院ではデパケンシロップを注腸で投与しているがこの方法も極めて有用である。

 

入院症例5 激しい口舌ジスキネジアによる嚥下・服薬不能例 への13件のフィードバック

  1. T.T のコメント:

    もう抗うつ剤を20年以上服薬してチック症状改善のためリボトリールも20年以上飲んでいますとくに顎とか歯の噛み合わせが気になりしたもよく動かしたりしますやはりこれはジスキネジアですか?

  2. 西川 正 のコメント:

    T.Tさんのご質問にお答えします。
    ジスキネジアは不随意運動で、自分の意思とは無関係に動く運動ですから、噛み合わせが気になり、自分の意思で動かす運動はジスキネジアではないと思われます。また重度チック症の治療に関しては近日中にUP予定ですので、ご覧になって下さい。

  3. Y子 のコメント:

    60歳代の女性です。抗うつ薬を10年近く服用しています 数年前から 筋肉が強張る、引き攣る、痺れる、ムギュムギュ動く様な堪らない痛みがあります。このため歩行困難で、現在は車椅子生活で床にいる時間も多くなっています。
    痛みが激しくこれまでは線維筋痛症と診断されていましたが、脳神経外科医から「遅発性ジスキネジアと思われ、不随運動を止めるのには外科的治療が必要な場合が有ります」と言われました。しかし主治医は認めていません。自分でも遅発性ジスキネジアについて調べましたが治療困難と書かれたものばかり目にします。
    家族への負担も気にかかる日々です。
    何かアドバイス よろしくお願いします。

  4. 西川 正 のコメント:

    Y子さんの投稿に対してお返事します。
    脳外科医から「遅発性ジスキネジアと診断され、主治医は認めてくれない」との事ですが、遅発性ジスキネジアで痛みを伴う事はまずないと思います。主治医に診療情報提供書を書いて貰われ、大学の神経内科または精神科などの専門医療機関を受診され、まず診断を確定する事が肝要かと存じます。遅発性ジスキネジアであれば、この症例のように薬物療法は可能と考えます。

  5. のコメント:

    どちらに相談すれば良いか分からず、質問させていただきます。お答えいただけますと幸いです。
    現在老健に入所中の80歳の母のことですが、口舌ジスキネジアがひどく、誤嚥性肺炎も起こしたため、経管で生きながらえていますが、常に唾液が気管支に流れ込んでいる状態であり、再び肺炎を起こす危険性があります。
    母は60年近くリスパダールなどを服用しているので、少しでも改善する可能性があるのであれば、こちらの記事にあるリボトリールとカタプレスの処方を試してみたいと思ったのですが、近隣の精神科のある病院に問い合わせても、「老健にいるならそこの主治医と相談を」とか「ジスキネジアや誤嚥の治療はしていない」と、どこでも門前払いになってしまいます。
    もちろん老健の医師にも相談したのですが「適応外の処方だし、老健ではできない」と断られてしまいました。
    この場合、探せばどこかの精神科で受け付けてもらえるものでしょうか?それとももう治療はあきらめないといけないのでしょうか。
    長文になってしまい、申し訳ありませんが、ご助言いただけますと大変助かります。

  6. 西川 正 のコメント:

    遅発性ジスキネジアは抗精神病薬による難治性錐体外路系副作用であり、その治療薬は本年米国FDAによりValvenazineが世界で初めて承認されましたが、現在日本でこの副作用に対する承認された薬物はありません。
    その一方で、この副作用で苦しんでおられる方は米国だけで50万人以上と言われており、この治療法については日本をはじめ様々な国で治療ガイドラインが作成されています。
    カタプレス、リボトリールはガイドラインに収載された薬物であり世界各国で使用されている薬物です。
    しかしながら、現主治医が言われるように適応外薬物であるのは事実ですので、以下の私からの提案を主治医に示されたら如何でしょうか。
    1)患者さんは80歳とのことなので、起因薬物であるリスペリドンを中止してみる。
    2)中止不可能であれば、より遅発性ジスキネジアを起こしにくい、セロクエル(25mg)0.5錠 又はレボトミン(5mg)1錠に置換してみる。
    3)リボトリールの代わりにジアゼパム(5mg)2~3錠/1日を併用してみる。

    以上です。

  7. N.H のコメント:

    教えて下さい、現在統合失調症で通院中の娘が歯のカチカチが止まらなくて困ってます。約10年位ピーゼットシー散を服用してます。現在は1日3回(1回4mg)を服用しています。現在37歳の娘は歯のカチカチが止まらなくて恐怖でパニックになってます。テレビを見たり本を読む事ができなくなっています。治療方法はないのですか。主治医に相談してますが止める方法はないとの事です。どうしたらいいか教えて下さい。

  8. Nobu のコメント:

    はじめまして。48歳男性です。約15年間ドグマチールを服用しまして、去年の12月に錐体外路症状として、ドグマチール1日3錠から現在0.5錠迄減薬し、アキネトンと言う薬を1日1錠飲む様に指示され、守って飲んでますがかなりひどくなってきてます。症状が出てから体重も15キロ位減りました。私的には、治る気がしないと言うか、どんどん悪くなって仕事どころか、ほぼ寝たきりになってしまいました。額も歪み出したし、本当に鏡を見ても全く別人なり怖くなってきました。医師に週一で、悪くなってる旨を訴えてるのですが、焦らず、今の治療で治りますから続けなさいと言われて途方に暮れてます。もう、顔面、口回りの筋肉の突っ張りがひどすぎてもうどうしてよいのか分からなくなりました。私は、大阪ですが先生の所で一度診察していただきませんでしょうか?遅発性の様な気がしてなりません。よろしくお願いいたします。

  9. 西川 正 のコメント:

    N.H.さんとNobuさんへ。

    遅発性ジスキネジアの治療はこのブログで記述しています(⇒参照2が、ネットで調べられれば専門的治療を行っている病院があるようです。
    当院での治療を希望される場合は、出来るだけ紹介状を持参して受診してください。1ヶ月程度の入院予定で来院されれば西川 正が治療を担当させて頂きます。受診日については調整しますので清和会西川病院医療相談室までご連絡ください。電話0855-22-2390(代表番号)。

  10. E子 のコメント:

    初めまして。70歳女性です。六月からエビリファイ、ルーラン、リスペリドンなどを服薬し遅発性ジスキネジアが発症しました。最初はエビリファイが処方され、唇を舐めるような仕草が見られたので、その後ルーランで発汗作用で中止、ラナゼパムを経てリスペリドンで舌をペロペロするようなり中断。3ヶ月後の12月ロナセン服薬で、口をずっと動かすようになってしまい、中止しました。
    12月10日からリスペリドンを1ミリ飲んでいますが、さほど症状は変わりません。周りの音が気になるなどの症状が出てきたため、エビリファイのジェネリック、アリピプラゾール3ミリを今日から服薬します。これにより、ジスキネジアは悪化してしまう可能性はあるのでしょうか。6年前にもエビリファイを半年ほど服薬していましたが、その時はジスキネジアは出ていませんでした。

    • 西川 正 のコメント:

      ジスキネジアの治療に関しては参照2をご覧ください。また、入院症例5のコメント欄の返信にも記しておりますので参考にしてください。アリピプラゾールはパーシャルアゴニストであり、ジスキネジアは軽快する可能性も有りますが、刺激作用により悪化する可能性もあります。

  11. H.M のコメント:

    鬱で20年近く通院している50歳女性です。
    エビリファイ3mgとスルピリド50mg(朝昼各1錠)ジェイゾロフト75mgを10年くらい飲んでいます。スルピリドは10年以上。
    遅発性ジスキネジアのことをネットで知ってから、遅発性ジスキネジアノイローゼになってしまいました。スルピリドで起こることが多いと知りましたが、どれくらいの頻度で起こっているのでしょうか?どういった素因があげられるのでしょうか?
    また、西川病院を受診したら、遅発性ジスキネジアについて、いろいろ不安な事など、教えてもらえるのでしょうか?
    (見当違いな質問でしたらすみません。)

  12. 西川 正 のコメント:

    H.Mさんへ:
    エビリファイとスルピリドの少量で遅発性ジスキネジアが発症する危険性は稀と思いますが、文面からは軽症のうつと思われます。抗うつ薬単剤でも治療可能なうつと思われますので、主治医と御相談の上、単剤にして貰われたら如何でしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です