入院症例1 入院治療を要する若年初発統合失調症

   Key word  初発統合失調症  急性期治療病棟  抗精神病薬の選択

17歳女性

高校に入学し寮生活を始めたが、強いストレスを感じ半年で寮を出て、祖父母と生活している。高校2年進級頃から頭痛、息苦しさが出現した。同年7月からはA病院精神科に通院し、統合失調症としてエビリファイ6mg、ニューレプチル10mg、ベンザリン5mgなど処方されている。高校3年になり、不安感強く、同居の祖父母に対して「男がきらい」「じいちゃんを殺す」「誰でもいいから殺したい」などの発言を繰り返し、自室に引き篭もっている。幻聴も1日中ある様子。吐き気、嘔吐あり。不安で一人では眠れず、祖母に一緒に寝てもらっているが、眠りが浅く疲れがとれない状況。かかりつけ内科医からの紹介により入院希望で同年6月当院初診に至る。

初診時

祖母同伴。幻聴激しく、些細な事で興奮して暴れるので入院させて欲しいと祖母は希望される。本人は泣いており、不安・恐怖状態。「苦しいので入院したい」と訴えるが、急性期治療病棟が満床の為入院予約とし、ジプレキサザイディス5mg/夕食後、ベンザリン10mg/就寝前 を処方した。2日後PICU(精神科集中治療・閉鎖)病棟に入院となった。

入院初日

初診時よりかなり落ち着いている。「いらいらする」「物忘れが激しく、物の置き場が判らなくなり、うろうろ探しまくる」と訴える。

薬物療法は初診時処方を継続とした。

治療経過

入院後は順調に回復し、第5病日にはホームシックになると言う為2泊3日の外泊とし、帰院後は同病棟の開放サイドに転室とした。

リハビリ活動としては作業療法棟での手工芸を中心としたプログラムを行った。最初は塗り絵、絵手紙(祖母への手紙を作成し、祖母が喜んでくれたと笑顔で話す)、マスコット人形作り、など次第にレベルの高いものに挑戦し、自信をつけてきた。

ときには泣いたり、落ち込んだり、ホームシックになったりしながらも順調に回復し12日間入院で退院となりデイケア通所とした。

診療のポイント

入院を必要とする興奮と攻撃性を示し、若年発症で適応障害傾向を示す難治例と思われた統合失調患者が僅か12日間の入院で寛解退院に至った。急性期治療病棟の保護的環境やリハビリ活動が回復過程にある程度貢献したと思われるが、この症例の場合エビリファイをジプレキサに処方変更した薬物選択が最も効果的で、薬物療法の比重が大であったケースと考える。そこで著者の統合失調患者に対しての薬物療法の治療指針を参考までに付記しておく(⇒参照1)。

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