参照20 西川型外来SST 手法と奏功機序

当院SSTは、1991年に西川正医師(著者)がリバーマンのマニュアルを基に独自のスタイルで治療導入したのが始まりである。その後デイケア、病棟、就労支援現場などで対象患者に合わせた多様なSSTとして発展している。

【西川病院外来SST】
現在、外来SSTは外来患者と急性期入院患者を対象に、オープン参加で週1回実施している。参加期間は無制限である。

最初に「SSTとは何か」を説明したのち、SSTに参加する上での3つの原則、① よりうまく話す ② 身振り手振りを使って表現する ③ 全員参加 の原則を確認、共有する。
その後直ちに各人のロールプレイの課題設定を行う。課題設定に際しては、長期目標や短期目標設定は行わず、本人の自由意志を尊重する。したがって必然的に自由度が高い「一般会話」が主流となる。しかし一般会話の中で「困難な生活場面でのつまずき」が発見出来れば、直ちにその場面をロールプレイ課題として設定し、その場面克服のスキルを磨く練習を行う。
ロールプレイでは、演じる2人の席を中央に配置し、それを円陣で囲んで着席する(写真)。

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以前は統合失調圏の参加者が多かったが、近年は気分障害者が多く参加し、毎回20名近くの参加者がある。見学希望者を除いて全員が毎回課題設定とロールプレイを行っており、外来症例22のように症状改善や復職に多大な効果を上げている。

【SST奏功機序】
SST普及協会講習会により全国に普及した従来SSTと当院外来SSTの奏効機序の違いをモデルで示した(下図)。

sst%e5%9b%b3%e6%94%b9%e8%a8%82-%ef%bc%92%ef%bc%99%ef%bc%91%ef%bc%94図の解説:SSTを受ける以前の参加者の状態は、『穴が開き空気(生きる力)が抜け、水中(自閉状態)に沈んだボール』として表現している。従来のSSTの奏効機序は左側に、現在の奏効機序は右側に示した。従来の奏効機序ではロールプレイによりスキル(浮力)を獲得すればボールは次第に水上(社会)に浮き上がって行く。一方、現在の極めて受容的なSSTグループに参加すると、メンバー同士の会話やロールプレイを見て共感するだけで穴が塞がり浮力を得る場合もある。これにいわゆるスキル獲得が加わり、機が熟すと『自己変革』が起こり水上(社会)に浮き上がる。

 

【治療効果の考察】
一般にSSTの奏効機序は、ロールプレイの積み重ねによる『skillの獲得』による行動形成とされており、従来の当院SSTもそれであったと思われる。
しかし、現在の当院外来SSTでは、一般会話のみ行うメンバーでも症状改善や長期の休職から復職に至る例が多数認められる。こうした高い治療効果をあげている要因を列挙してみる。
① 極めて受容的で共感性の高いグループであり、SSTグループに参加してメンバーの話を聞くだけでも、他者に共感し「自分だけが苦しんでいるのではない」と孤立感が解消し元気が出て来る。
② 回を重ねることでグループに対する信頼感が深まり、安心して「自己の苦悩体験や弱点」を自己開示する。
③ 「自己開示」に対して、治療者やグループから共感や賞賛を受け、自己肯定感を得る。
④ SST体験を繰り返し、機が熟すると劇的に「自己変革」が起こり、負の病体験がプラスに変換される。

現在の西川病院外来SSTでは「自己変革=生まれ変わり体験」が起こる参加者も多い。外来症例22はこの典型例として提示した。

 

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